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May 2008

パンダ騒動

先頃、絶妙なタイミングで天寿を全うしたリンリンに変わる新たなジャイアントパンダ2頭の貸与が決まったそうだが、これに対してインターネットなどでは反対意見が大勢を占めている。ワシントン条約で販売、国外への譲渡が禁止されている為に、名目上研究目的での貸与となっているのだが、借用に年間1億円かかるというのが反対の主な理由だ。上野動物園にランランとカンカンがやって来た頃のフィーバー振りを思えば実に隔世の感在り、日本人も随分とせち辛くなったものだ。その一方で大赤字のローカル銀行に400億円もの税金が使われる事にはさほど関心が無かったりする、おまけに当の都知事までも「費用対効果云々」なんて言い出しているのだからやはり呑気というべきか。
実は私自身は本物のジャイアントパンダを見た事が無い。上野動物園には間違いなく行っているのだが何故か見た記憶が無いのだ。そういえばランランカンカン以降上野動物園には何頭かのパンダが居たはずだが何時の間にやらリンリン唯一頭となっていた事に全く気がつかなかった。首都圏に住み毎日都内に通う自分でさえこうだ、しかしながら「たかが」と言っては語弊が在るかも知れないがパンダの話題にこれだけの賛否が集まると言う事は、時節柄であっても彼等に関心を持つ人が未だに多いと言う事なのなのでしょう。もしパンダの居る風景が日常ではなくなった時、果たして何も変わらない東京でいられるだろうか。

この賛否を問うインターネットのアンケートには私も希少動物の種の保存の観点から賛成という立場で投票と意見の書き込みを行ったのだが、深夜にも係わらず面白い反応をする人が居て結構楽しめた。一方で賛成、反対両派とも感情的で一面的な意見が多いのはネット故致し方ないことだろうが残念。。。
現代の動物園は単に珍しい動物を収集、陳列してお客を集める集客施設というだけではなく、希少動物の保護、研究機関であり、学習施設としての性格が強い。生息地の環境変化による万一の絶滅に備え、また動物園同士の交流によって種の健全性を守るという使命も在る。生きたDNAを保存するという機能は言ってみればノアの箱舟だが、今回のパンダ貸与も少なくとも大義名分としてはこの流れにそったものだと思う。借用料も学術的な用途に使われるのだろうし、第一義的には相手の善意から出た話なのだから有り難く受け取っておくのが筋だろう。
ガス田開発や農薬入り餃子、人権などの諸問題はこれとは別に然るべき時に然るべき場所できちんと話をすれば良い、というかするべきではないだろうか。

080510

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消え行くもの

戦後日本を代表する建築家の一人であり、商施連(商業施設技術者団体連合会)の2代目会長を務められていた「違いのわかる男」(これを知っている人は相当古い)清家清氏の初期の代表作『斉藤助教授の家』が取り壊される事になったそうです。これを受けて急遽行われた東工大の主催による見学会に縁在って参加する事が出来ました。

実のところその名前を知るのみで殆ど予備知識無いまま見学させて貰ったのですが、床から天井に至る大きな開口部が全開し、リビングから眺めの良い庭を通して彼方に横浜方面と思われるビル群を一望する事が出来る。そのドラマチックで爽快な眺望や、外光を柔らかく取り入れてリビングとダイニングを切り分ける鮮やかさにうなった。

昨今建築を語る事がある種のブームとなり、リノベーション(再生)やリユース(再利用)が叫ばれていたりもする。
それでも時代や町並みの顔となり、建築家個人の思想の具現化とも言える貴重な建築物が主に効率性や経済性の観点から取り壊されて跡形も無く成ってしまうという現象は今だに後を断たちません。
確かに建築は使われてナンボの実用品であり、飾って楽しむ美術品ではないのだから仕方ない。と言ってしまえば実も蓋も無いが、小規模な住宅建築とはいえ古い建築物を維持して行くのは手間とお金がかかる訳で、ましてや個人で維持して行くのは確かに並み大抵の事で無い事はわかる。
加えて土地に定着しているのが建築の定義ならば、仮に運良く何処かへ移築保存されたとしても本来の居場所を離れてしまった建築物は或る意味標本、良く言ってモデルハウスにすぎないと言えない事も無い。

でもそれならばそれで良い、或る時代、或る場所、一つの理想を建築の形に具現化した創作の賜物なのだ。純粋な保存が無理ならば新たな用途で再利用、という手だってある。個人に負わせるには重すぎるなら行政に、行政にその余裕が無いならばせめて関連の在る組織や団体が維持管理に参加出来ればとも思う。遅きに失したという事なのだろうか。

ともあれ、皆がGW中に遊び呆けて東京に戻って来た時には綺麗さっぱり更地となって、後は人々の記憶と記録の中に残るのみ。
南に開けた気持ちのよい縁側に立って「ああ〜勿体無いな〜」と思った午後でした。

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