« 小雪 | Main | 見えて来たのか「欠陥構造建築事件」 »

呆れた「構造計算書偽装事件」

少年による同級生の殺人、無慈悲に命を断たれる若い姉妹や子供、といった気が滅入るような事件が続く昨今、突然沸き起こった「構造計算書偽造事件」。私自身も少なからず係わりを持つ建築業界だけに他人事では済まされない。
いずれ誰かがしでかすのでは無いか?という漠然とした危惧は無い訳では無かったものの、報道を通して知るお粗末な内容にはまったく呆れてしまう。事件の全容は今だ霧の中ではあるがどこまで被害が広がるのか固唾を飲んで見守っているところです。
事件の一報を耳にして疑問に思ったのは、件の設計士にとって構造計算書偽造がもたらすメリットが何なのか全く解らない、何のメリットも感じられないという事だ。普通に考えれば何の得も無い計算書の偽造を何故長きに渡って行って来たのか、彼自身が言う様にコストダウンと受注増が無言の圧力となっていたのか、誰かの強制があったのか、なぜ進んでカメラの前でシラーと白状する事が出来るのか、当然の事ながら彼を囲い込み利益を目論んだ人々がいるのでは無いか?という疑問が続いて沸いて来る。
一般には馴染みが無い事かもしれないが、ひと通りの勉強をし、国家試験を経てきた建築士といっても、実際には意匠、構造、設備、積算とそれぞれの得意分野が有って分業化している。勿論全部が全部とは言わないが、自分の経験の範囲内に限って言えば意匠(デザイン)を得意とする設計者は構造や設備は苦手である。意匠を受け持つ設計者が日々の仕事に流されて、偽造された計算書を鵜呑みにしてしまう事はありうる。となるとやはり民間の検査会社や最終的に受理する自治体の担当者達が稚拙なトリックを見破れなかったところに最大の問題が有るのではないだろうか。検査の項目は多岐に渡り、何も構造だけを見ている訳でない事は確かだが、日頃目を皿の様にして重箱の隅をつつく様な仕事をしている筈の彼等が何故?という感じはする。そう言えば最近紀宮様と結婚した黒田さんも東京都建築指導課の職員だったような・・・まあ関係ないことでは有りますが。

一方此所数日来の報道、特にTVのワイドショー等を舞台にして「攻め易い敵を自ら作り出して攻める」「シナリオに沿った内容だけ流す」というマスコミの悪い癖が顕著になり始めた気がする。今回は施主のH社。自己顕示欲が強いのかヒョイヒョイとTVに顔を出す社長を吊るし上げて得意満面の醜悪な番組も見られる。
確かにこの不可解な偽造事件で最終的に利益が収斂して行く場所は転売して利益を得る開発会社という事になる訳で、ならば開発会社が怪しいと私自身も思ったくらいなのだが、実際のところ当事者はH社に留まらない。しかしマスコミは一般には分かりにい(彼等自身も解らないであろう)建築業界の構造的問題に踏み込む事は避け、不動産屋と購入者という分かりやすい構図に的を絞って攻撃を開始したようだ。
この種の事件では、視聴率競争に明け暮れるTVマスコミに多くを期待する事自体無理かもしれないが、正確で客観的な事実のみを流して貰いたいものだ。

|

« 小雪 | Main | 見えて来たのか「欠陥構造建築事件」 »

「ニュース」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/53409/7305334

Listed below are links to weblogs that reference 呆れた「構造計算書偽装事件」:

« 小雪 | Main | 見えて来たのか「欠陥構造建築事件」 »