エスビョルン・スヴェンソントリオライブ
ヨーロッパで数々のジャズ賞を受賞しているスェーデン出身の注目ジャズグループ「エスビョルン・スベンソントリオ=EST」のライブに行ってきました。
ヨーロッパで大人気とは言え日本での知名度はまだまだ、しかしながらこの日の渋谷オーチャードホールはほぼ満員の盛況ぶりでした。
開演時間を10分程度過ぎて会場に到着。既に一曲目が始まっており外で待機。どうやら時間通りきっちりと始まったらしい、さすがは北欧ゲルマン人、と妙なところに感心する。
彼等の演奏は現地ではプログレッシブジャズと呼ばれて従来のジャズとはやや一線を画し、むしろロックやポップスと同列に扱われているそうだ。確かにダン・ベルグランドのウッドベースやエスビョルン・スヴェンソンのピアノが演奏途中そのままエレキベースやシンセサイザーに変貌し、且つそれがめちゃくちゃ歪んだ音を奏でるところなど非常に前衛的でむしろロック的あったりもする。この辺はパットメセニーグループにも言える事だが、そもそも現代ではジャズとそれ以外のポピュラー音楽を別ける基準は曖昧で、本人達がどう思っているか、あるいは何を継承しているかの違いでしかないのだから、彼等もまた「前衛的なジャズ」で充分なのではないかと思う。
パットメセニーと言えばESTの音楽はドイツのジャズ&クラシックレーベルであるECMに在籍していた初期のメセニーに通じるものがある。「ウオーターカラーズ」などの雰囲気。勿論私自身彼らのECM時代の曲を全て聞いている訳ではなく、むしろ知らない曲の方が多いのであり、即断は出来ないのだが、アメリカ人でありながら且つてその様にヨーロッパジャズの影響下にあったメセニーなのだから当然では有るが、思索的で漂う様な、それでいて硬質で且つメロディアな音楽は、苦しそうな演奏スタイルも似ていてピアノとギターの違いこそあれどこか似ている気がするのだ。
全ての曲でキラキラと輝く静かな北欧の夏の海や深い森の風景が脳裏に浮かんで来る。マグナス・オストロムが機械の様に正確且つ変幻自在ななリズムを叩き、ダン・ベルグランドの挑発的なウッドベースがハードロックのギター顔負けのサウンドを披露、エスビョルンのピアノがあくまで柔らかくやさしいメロディーで呼応する。。と言う具合にアンサンブルはかなり高い次元で完成されていて演奏力も非常に高い、この辺りはジャズプレイヤーならではと言えるだろう。ライブは途中20分の休憩を挟んでの二分構成でしたが、休憩時間に飲んだビールの影響か後半睡魔が襲って来た。演奏が退屈だったのでは無く、気持ちよかったからなのだが、後ろの席からもスースー言う息使いが聞こえて来て思わず苦笑する(実際にはかなり気になる)。途中何度か挟まれたMCからは彼等の北欧人らしいシャイな人柄が偲ばれた。
販売コーナーで彼等の最新アルバムを購入。購入特典ということでライブ終了後サイン会が行われ3人のサインを頂く。良い演奏を聞かせてくれたお礼に「サンキュー」の言葉と握手を交わして会場を後にした。
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