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THE WAY UPツアー

先々週の金曜日(4/22)、待ちに待ったパットメセニーグループ東京公演に行って来ました。やや日が経ってしまったので新鮮味はいま一つかもしれませんがおつきあいを。

私がPMGのファンになる切っ掛けとなった1985年の(もう10年も前か・・と、ひとしきり感慨)ウィ・リブ・ヒアーツアーも素晴らしかったのですが、今回はここ数年のツアーの中では、演出、演奏力、構成等々全ての面において最高の完成度だったのではないかと思う。期待に違わぬ圧巻のステージでした。

先ずはスタートの演出が心憎い。開演時間を過ぎても照明がついたままの会場、最新アルバムの冒頭に流れる都会の喧噪音が小さく流れ続ける中、ステージ上手からいきなり「ヨォ」という感じで手を降りながらメセニーが登場、アコーステックギターを弾き始めます。虚を突かれた格好の観客の拍手が沸き起こる中、今度は客席側からメンバーがぞろぞろ登場。全員のスタンバイ完了と共にメセニーのソロギターがテーマのフレーズを奏で始め、突然会場の照明がブラックアウト。ポーンとステージにスポットがあたると音が奔流となって溢れ出す!。

今回は1曲72分という超意欲作THE WAY UPをどう演奏するのか興味津々でしたが、これはほぼCDに忠実な演奏。とは言え当然ながらライブ向けにスケールアップされており、案の定機械の様に正確且つ強烈な音を繰り出すアントニオ・サンチェスのドラムスは素晴らしく、ここまでくるともう神業の域。メセニー、ライズ・メイズ、ステーブン・ロドビー以外メンバーが流動的なのがPMGの特徴でもありますが、今回もメンバーの実力は物凄い物が有り、良くもまあこれだけ演奏力、表現力の高いメンバーを集めるものだと、ただただ感心するばかりです。

私なりに今回のコンサートで目を見張った点を3つ上げてみましょう。

1) 今回限りかもしれないTHE WAY UPの圧巻の演奏
2) 過去の曲にも注がれる演奏力の全くの妥協のなさ
3) メンバーのマルチな才能ぶりとスタッフの大活躍

1) 今回限りかもしれないTHE WAY UPの圧巻の演奏

CDの演奏にも一端が現われていますが、今回は以前にも増してバンドのアンサンブルが重視されており、しかもメンバー個々の演奏力が物凄いので、重層的に構成された音楽の構造体が聳えている、と言うか何かステージ上に太陽の様なギラギラとしたものが存在しており、そこから膨大なエネルギーが客席めがけて放射されているという感じを受ける。
60分を超える長い演奏の間、心地よい緊張が途切れる事が無く、ラスト近く、火の玉の様になった音の合間からクォン・ウーのヴォイシングが立ち上がって来るところなんざァあまりの神々しさに鳥肌が立ちました。
多分今後この曲がライブで演奏される可能性は少ないと思うので、今回会場に足を運べたPMG&音楽ファンは幸運でした。

息を殺して聞き続けた60分、真に演奏者を称える割れんばかりの拍手の後、一回目のメンバー紹介と簡単なMC。「問題は次にやる曲が短かい事なんだ」的なジョークを喋り、かなり受けておりました。(オ〜皆英語が理解出来るのネ)

2) 過去の曲にも注がれる演奏力の全くの妥協のなさ

後半はメセニーとアントニオサンチェスを残しメンバーが一旦退場、曲毎にメンバーをひとりひとり戻しながら主に『ウォーターカラーズ』や『オフランプ』など初期のアルバム中の作品「ミヌワノ」「ラスト・トレインホーム」などのポピュラーな曲、ハードロックの要素を取り入れ、おもむろにむっくりと立ち上がってギターを弾くライルメイズが微笑ましい「ルーツ・オブ・コインシデス」などのやや異色な曲等々を現在のメンバーと演奏力で披露、図らずも当ブログのアフェリエイトで記したアドバイス通りとなった格好ですが、近年の完成度の高い曲だけではなく、古い曲と言うところが。どうやら過去の作品ひっくるめて丸ごと「上に参りま〜す」と言う今回の主旨なのではないかと私なりに感じた次第。最新の曲を先頭に置き、デビュー当時からの代表曲から傾向の異なる曲をピックアップして並べて行くという整理された構成でした。

3) メンバーのマルチな才能ぶりとスタッフの大活躍

CDの重層的に録音された音を再現するのにこのグループは、メンバーがいくつもの楽器を演奏する事で対応している。メセニー自身もギターを背中に回して別のギターを弾き、背中のギターをくるっと持ち変えて続けて弾く、なんて事をやるし、ライルメイズもギターを弾くし、他のメンバーも3つや4つは当たり前、唯一ロドビーはベース1本だが彼はグループのプロデューサー兼務だ。そんなわけで楽器の入れ替えや調整の為にスタッフがせわしなくステージ上を飛び回る、その動きは正確且つ躍動的で演奏の一部の様でもあります。

3時間に及ぶステージも終盤、鳴り止まぬスタンディングオベーションを受けて渾身のアンコール。曲は「Song for Bilbao」実は私の知らない曲でした。アンコールは今回も一曲だけでしたが、この内容でそれ以上を望むのは酷でしょう。

さて、パットメセニーグループのパフォーマンスはその出自からして一応フュージョンに分類されおり、またそのベースがジャズで有る事は間違いないのですが。実際彼らのライブを聞くとジャンル分けの意味が解らなくなってしまいます。今回もさらにパワーアップした極めてクオリティの高いノン・ジャンルミュージックを聞かせてくれました、素晴らしいステージをありがとう。

追記:本文作成後他の方のブログを参考に記憶違いや勘違いによる誤記等を修正させていただきました。

パット・メセニー・グループ THE WAY UP コンサートに行く
:Tea time dialy

パット・メセニー・グループ Live in Tokyo 22日のセットリスト
:Under The Red Sky

パットメセニーグループ:napoさんの那須的生活


the_way_up

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Comments

ヨシヲさんこんばんは!
当方へのコメントとトラックバック、どうもありがとうございました!

> 過去の曲にも注がれる演奏力の全くの妥協のなさ

これは同感ですね!
聴き慣れた曲でアレンジも大して変わってなかったですが、それでもやり始めるとついのめり込んで聴き惚れてしまう、そんな感じでした。

それから楽器の持ち替え、パットは「ステージで楽器を持ち替える時間を計算しながら作曲している」と以前語っていたことがあります。まさにその計算通りに進行したステージでしたね。ホントにすごかったです。

ではまた!

Posted by: Kota | May 05, 2005 at 10:14 PM

Kotaさん>
PMGも素晴らしかったのですが、Kotaさんのレポートも読み応えがありますね〜素晴らしい。
後半の演奏の中で私が特に感銘を受けたのは「always and forever」でした。Secret Storyは全体的に好きなアルバムなのですが、その中でもKotaさんの仰る通り比較的小品なオリジナルを見事に膨らませて、スポットライトでマレットとパットが浮かび上がる演出も何か宗教画を見ているようで力強さと優しさに目頭が熱くなりました。

Posted by: ヨシヲ | May 08, 2005 at 03:18 PM

ヨシヲ様

はじめまして。こんにちわ。
パパモフと申します。

ヨシヲ様の記事。興味深く拝見させていただきました。
詳細な内容にワタクシなどは、ただ感心するばかりでアリマス。
そんなわけでトラックバックさせていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: パパモフ | July 01, 2005 at 10:54 AM

こんにちは。コメントありがとうございました。
メセニーはウイ・リブ・ヒアあたりで止まっている
ので、メセニーグループでの彼のプレイを実は聴いて
いません。新しいアルバムも聴いてみますね。

Posted by: takaogi | July 11, 2005 at 06:17 AM

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