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武士 MUSA

なにやら日韓関係が俄に騒々しくなって来た。
行為自体に間違いは無くとも、行動を起こすタイミングを間違えると最悪の結果と成る。島根県議会の行動はタイミングが悪すぎた、私的にはもう少し空気を読め!という感じでもある。

そんな事とは関係なく、最近DVDで鑑賞した韓国製時代劇をレビュー。娯楽映画としての水準は極めて高い。

当初それ程大きな期待を抱かずに見始めたにも係わらず、面白さにぐんぐんと引き込まれて行った。もしかすると最近私が見たこの手のジャンル(歴史スペクタクル)作品の中ではベストワンと言っても良いかもしれない。物語りは完全なフィクションだが、キングアーサー、ラストサムライ、ヒーロー等は勿論の事、先頃まで劇場公開されていたアレキサンダーと比べてもなお、その人間描写とスペクタクル性において遜色は無い。

14世紀の中国大陸。落日の元と新興の明の狭間で否応なき戦いに巻き込まれる高麗使節団。モンゴル軍に拉致された(本来は敵である)明の姫君の救出、漢族の農民達を巻き込んでの敵中突破とモンゴル騎馬軍団の追跡、多勢に無勢、荒野の砦を舞台にしての絶望的な攻防戦。最後に生き残るのは誰か?激戦の末に生き残った武士がなおも故郷へと向かうラストが印象的だ。

私は中国の武侠映画に見られる様なぴょんぴょんと飛んだり跳ねたりする殺陣が苦手で、アジア系の歴史アクションは避けて来たのだが、この映画の殺陣は実にリアルで、残酷なものは残酷に、痛快な物は痛快に表現されており、大陸の乾いた大地の下、作品全体から感じられる空気感は時代劇と言うよりはむしろ西部劇に近い。
それはまた西部劇への対抗意識を抱いていた黒澤明監督の作品とも一脈通じる事になる。実際この映画が7人の侍を意識して作られている事に疑う余地は無く、加えてある意味荒唐無稽で「劇画調」である事も事実なのだが、「身分制度の矛盾」「国家に翻弄される民衆」「民族間の軋轢と融和」etc、、、と現代にも通じる社会問題意識を違和感無く織り込む脚本に加えて、敵味方を含めた登場人物1人1人の造型がしっかりと作られており、チョン・ウソン、アン・ソンギ、チャン・ツィイー、チュ・ジンモといった役者達の嵌り方が見事だ。
歴史物というとCGを駆使した大合戦シーン等が目玉になりがちだが、この作品では荒野の只中に取り残されたような中小集団同士の戦いであるところがむしろリアルで強い無情感を醸し出している。

昨今の韓流ブームは主に女性(しかも比較的高年齢層)が中心である為か、相当な出来であるにも係わらず公開時にさほどの注目を受けなかったのは惜しい。
黒澤明作品を引き合いに出したが、実際活劇としての面白さにおいて、この作品に比肩しうる邦画時代劇(歴史劇)は、全盛期の黒沢明作品は除くとしても、そう多くは無いかもしれない。

あくまで主観であり且つ多くの時代劇を未見ではあるが、私なりの正直な感想だ。
musa

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Comments

お久しぶりです。
このたびはコメントを頂戴しましてありがとうございました。豊富なボキャブラリと多面的な切り口によるコメントを拝見し感服しております。
MUSAについて同様の感想とうかがい、私の感性も捨てたものではないな・・・と自信がつきました。
こちらからもトラックバックさせていただきました。今後とも宜しくお願いいたします。

Posted by: cozy | March 31, 2005 at 10:22 PM

感服だなんてお恥ずかしい。感想を素直に且つシンプルな文章に出来れば良いんでしょうけど、これがなかなか難しいです。
ところでブログ開設一周年だそうで、おめでとうございます。今後とも宜しくお願いいたします。

Posted by: ヨシヲ | April 01, 2005 at 09:36 AM

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