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ニュース23での堀江氏

昨夜はフジテレビによる日本放送株のTOB買い付けがひとまず成功し拒否権を得た事によるフジテレビ日枝会長の記者会見と共に、FNN系を除く各局では一斉に堀江氏のインタビューを放送していた。
『報道ステーション』は古館キャスターの進行が上手くなり、割合安心して見られる様になったのだが、昨夜に関しては私が興味を引かれたのは『ニュース23』でのインタビューだった。

他局では裁判所の判断や株取り合戦に関する今後の勝算、日枝会長の会見に対する感想等一般的な興味に基づくインタビューが殆どだったのに対して、『ニュース23』では主に堀江氏のメディア論、日本放送支配(乃至は協業)後のビジョンに対する質疑応答が行われ他局との違いが明確であった。筑紫キャスターのジャーナリストの立場からの本音と疑問を滲ませたインタビューと、それに対する堀江氏の以前とはやや異なる丁寧且つ饒舌な受け答えが印象に残った。

世論調査によるとホリエモン支持層は50〜60代で高いそうだ。学生運動に燃えた青春時代の夢と現実の狭間の閉息感を撃ち破る優秀な部下世代として支持したくなるのかもしれない。何となくそんな風に理解しているのだが、所謂団塊世代の下に位置する私なんぞはどうしてもストレートに物を考える事が出来ず、穿った見方などをしてしまいがちなのだ。

と言う訳で。

確かに堀江氏のメディア批判やブログ等の新しいネットコミュニケーションへの期待に関してはまあ理解出来る。問題は筑紫キャスターも指摘していた通りマスメディアとネットの融合に関する手法、メリットに関するビジョンが相変わらず提示されていない事だ。
以前何処かで彼が言及していたインターネットと地上波デジタルという双方向コミュニケーション技術の並立による無駄の排除やTV、ラジオという馴染深いメディアをネットのインターフェイスに利用する利点についてははその通りだと思うが、一方ネットを介しての決済や双方向コミュニケーションなどは既に試みられている事でも在るし、利点以上に問題が同時に存在する事を考えれば別段新鮮味は無い。
やはり買収によるメディア支配という本音隠しの「後付けコンセプト」の印象が拭えないのだ。
そもそもブログを含めネット世界は、全体規模こそ巨大だがマクロで見れば閉鎖的な小宇宙の集まり、村社会コミュニケーションの世界、個人のメディアと捉える事ができる。自分の考えや意見が世界中を駆け巡っているような感覚は一部の例外を除いては幸福な錯角にすぎない、だからこそマスメディアの力が必要、という事なのだろうが、その例えが『電車男』では・・・ウ〜ムどうなのか?

一方この日も含め最近の堀江社長は、平和的な協力体制、協同事業を口にする様になった。
誰かのアドバイスを受けたのかもしれない、今更の感も無くは無いが、本当の買収合戦はこれからなので、日本放送、フジテレビ側の態度が頑なのは係争中故という可能性を考慮すれば今からでも遅すぎると言う事は無いと思う。

堀江氏のこれまでの物言いに関しては、勘違いや誤解を招く要素が多かった。
若いから仕方ない、という考え方もあろう。自分も20代30代と周囲の人達からそのような見方で許容されて来た部分も多かったと思う。しかし5才の子供ならいざ知らず、適切な『言い回し』『表現術』は社会生活を営む人類にとって無くては成らない処世術である。ましてや数百億の金を動かし日本のメディアの在り方を改革しようとまで発言して企業買収に取り組んでいるのならば『資金』と『表現術』は切っても切れない車の両輪であるはずだ。その意味で「メディアを殺す」「一時情報は買えば良い」という良く知られた発言等は過去の発言の一部が誇張された物であり、意味するところは事実であったとしても、「愚の骨頂」と言わざるを得ない。

もっとも堀江氏にしてみれば、表現しようが無いのかもしれない。
我々一般人でも家庭や仕事の場面でITやコンピューターに関する説明を機械オンチの人に理解してもらうのに一苦労する場面がまま存在するのも確かだ。
まあ仮にそうだとしても相手に正しく理解してもらう努力を行って損は無い。
先の発言も(内容に関する私の理解が正しければ)「現状のメディアの在り方を変えて行く、その為の方策はネットとメディアの融合に拠って可能と成る」そして「現状では一時情報は既存のメディアを利用させて頂く」という言い方であれば(少なくとも我々傍観者にとっては)何の問題も感じないで済んだのではないか。

その意味で昨日の『ニュース23』での堀江氏の発言は内容的には満足出来るものでは無かったにしても、彼自身TVを通して視聴者大衆に理解出来る言葉と姿勢で表現しようという意識が見られた事自体は進歩だと思う。
と、自戒の意味も込めて。

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Comments

東京大空襲の記事でコメントいただき、ありがとうございました。拝見し、堀江氏に関する記事に大変に共感する部分がありましたのでTBさせていただきました。

私が言いたかったことを的確に表現していただきました。


特に

>しかし5才の子供ならいざ知らず、適切な『言い回し』『表現術』は社会生活を営む人類にとって無くては成らない処世術である。ましてや数百億の金を動かし日本のメディアの在り方を改革しようとまで発言して企業買収に取り組んでいるのならば『資金』と『表現術』は切っても切れない車の両輪であるはずだ。その意味で「メディアを殺す」「一時情報は買えば良い」という良く知られた発言等は過去の発言の一部が誇張された物であり、意味するところは事実であったとしても、「愚の骨頂」と言わざるを得ない。

その通りです。最近の彼を見ると明らかに慎重になっているだけに、なぜ最初にそれができなかったか。納得のいくプレゼンテーションがいわゆる初動期になされていたら、あるいは私も応援派になったかもしれない。
彼は、おそらく「じあたま」は良いのでしょうが、早くからなまじビジネスに成功してしまったことが仇になり、よきアドバイスが受けられなかったかもしれない。

今回は私は支持しませんが、5年後、あるいは10年後に熟成した彼を想像することは、不快ではありません。

それにしても、彼を取り上げるメディアのあり方や姿勢も、つくづくメディアは「有望なものをも殺す」恐ろしいものであると思います。

ではでは。

Posted by: BigBan | March 13, 2005 at 01:21 PM

BigBan様コメント、トラックバックいただきありがとうございます。
私もBigBanさんの意見に共感する所大です。
この件では堀江氏に信仰にも似た支持を送る人、生理的な拒否反応を示す人、無関心な人に三分されている様に思われます。
加えてBigBanさんの様に是々非々で対応する方達がいる。私もそのひとりです。
彼の頭の中にネットとメディアを結び付ける壮大なビジョンが在るかどうかはわかりませんが、金儲けに対しては「天才的」で在る事は間違い無い。尤もそれが正当に行われ、且つ結果として我々ユーザーも含め、良い方向に向かうのなら何ら問題はないし、日本放送の株主がフジテレビであろうとライブドアであろうと本来は関係ない筈です。
現在の民間放送が、真に公共的かどうかは意見が別れるところでしょうが、公共的であるべき事は疑う余地が無い。メディアの買収には初めから細心の注意を払うべきだった。彼自身も学習した事でしょう。今回の騒動が治まった後にしっかりと総括、反省して欲しいと思います。

一方、防戦する日本放送側にも疑問を感じない訳では在りません。
本日表明された日本放送に拠るポニーキャニオン株のフジテレビへの売却話。所謂「焦土作戦」は(気持ちとしては解らないでも無いが)音楽製作、配給会社とインターネットとの親和性を考えれば、何故ライブドア傘下になる事が会社の(ひいては利用者の)不利益に繋がるのか、亀淵社長に解り易く説明して頂きたいものです。

Posted by: ヨシヲ | March 14, 2005 at 04:12 PM

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堀江氏に対して相当批判的なロジックを張っている私ですが、彼を糾弾する全ての者に対 [Read More]

Tracked on March 13, 2005 at 01:16 PM

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